よくある質問

公民

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  「ICT」は「Information and Communication Technology」の略語であり、「情報通信技術」などと訳されます。これに対し「IT」は「Information Technology」の略語であり、「情報技術」などと訳されます。どちらもインターネットなどの通信に関する語ですが、「IT」は情報端末や情報インフラなどの設備的な側面を、「ICT」は情報端末などを活用したコミュニケーションの側面を強調する傾向があります。
 1990年代後半から2000年代前半ごろにかけて、日本では「IT」が多く用いられました。また今日でも、経済産業省などにおいては、情報端末の整備などの意味合いから「IT」が多く用いられています。しかし、国際的には「ICT」の方が一般的であり、また近年は学習指導要領においても「ICT」が用いられていることなどから、弊社の教科書におきましては「ICT」を優先して用いるようにしています。 

 文部科学省の国語審議会が発表した「外来語の表記」においては"Lincoln"は「リンカーン」と表記することが定められています。これを踏まえて多くは「リンカーン」と書き表します。ただし、この「外来語の表記」は、その他の書き方を否定するものではなく、必ずこれに従うべきものではない、との細則があります。
 弊社では、グローバル化が急速に進展している現状を踏まえ、できる限り現地の読み方に近い表現で外来語を書き表しています。"Lincoln"は発音記号では"lˈɪŋkən"と表されることから,弊社では「リンカン」を日本語読みとして使用しています。
 なお、現在発刊されている高等学校の世界史教科書では、弊社を含めほぼ「リンカン」で表記統一されており、また中学校の歴史的分野や公民的分野、高等学校の公共の教科書においても、弊社だけでなく他社でも「リンカン」と記載している出版社があります。 

 ドイツの都市である「Weimar」について、日本では「ヴァイマール」「ワイマール」などさまざまな表記が用いられています。弊社の出版物では現地語(この場合はドイツ語)の発音に近い表記を原則としており、その原則に従うと「ヴァイマール」という表記になります。
 しかしながら、憲法学の研究書などでは、英語の発音に近い「ワイマール憲法」という表記が慣例として広く用いられており、入試で出題される場合もあります。また中学校段階の教科書では、「ヴ」などの「ウ濁音」は原則として用いておりません。こうした状況を踏まえまして、中学校段階の教科書では「ワイマール憲法」と単独で表記するとともに、高校の教科書では「ワイマール(ヴァイマール)憲法」と併記しています。 

 1972年に公布された「勤労婦人福祉法」が法律名を含めて全面改正され、1986年に「男女雇用機会均等法」として改正施行されました。なお、法律の内容が全面的に変更されていることから、1986年に新たに施行されたと位置づけている場合もあります。 

 日本国憲法28条では、「団体行動をする権利」が保障されています。この「団体行動」には、争議(ストライキ・サボタージュなど)や日常的な組合活動などが含まれますが、典型的な団体行動が争議であることから、「争議権」を併記し、理解しやすくしています。 

 日本国憲法26条2項は、「すべて国民は、(中略)その保護する子女に普通教育を受けさせる義務を負ふ」と定めています。これについて「教育を受けさせる義務」という表記を用いると、専門教育や生涯教育など含む広く教育全般を受けさせる義務があると誤解を招くことから、「普通教育を受けさせる義務」という、日本国憲法の条文に基づく表記にしています。 

 政党助成制度は、国が政党に対し政党交付金による助成を行うことにより、政党の政治活動の健全な発達の促進および公正の確保を図り、もって民主政治の健全な発展に寄与することを目的とした制度です。
 その根拠法が「政党助成法」であることから、一部の報道機関などでは「政党助成金」という表記が用いられる場合もあります。しかしながら、同法において「政党交付金による助成行う」と明記されていることから、より正確に「政党交付金」と表記しています。 

 日本の政治制度がイギリスとアメリカのどちらに近いかついては、議院内閣制の面と、権力分立の面のどちらから考えるかによって、見方が変わります。
 まず、議院内閣制という制度の面では、イギリスに近いと考えることができます。こちらの考え方を記述している教科書も多くあります。
 他方で、三権(立法権・行政権・司法権)の権力の対等さと、厳格な分立体制の面からは、アメリカに近いと考えられます。弊社の公共・現代社会の教科書では、後者の考えに基づいて構成しています。特に、イギリスの司法権については、以下のような特徴があります。
① 2009年にイギリスに最高裁判所ができるまでは、イギリスの司法権は貴族院(上院)に付属するもので、伝統的に権力分立(特に司法権)については軽視される傾向があった。
② ①で示したように2009年に最高裁判所はできたが、イギリスには明文化された憲法典が存在しないため、違憲審査権を持たず、また立法権、行政権に対して抑制効果を持っていない。そのため、チェック&バランスの機能が取りにくい。
 このように、イギリスでは権力分立のチェック&バランスが十分でないため、三権分立の観点から、日本の政治体制はアメリカに近いといえます。
 ただし、①で示した最高裁判所の設置は、イギリスの国民が伝統よりも権力分立の厳格化を求めた結果であるといわれています。また、2011年に制定された議員任期固定法が22年に廃止され、首相の判断で下院(庶民院)を解散できるようになりました。このように、イギリスの政治制度や取り巻く環境も、近年変化しつつあります。 

 弊社の出版物に掲載している刑事裁判の法廷の写真では、裁判長・裁判官から見て右側が弁護人、左側が検察官です。しかし、刑事裁判の法廷において、弁護人と検察官の位置は、裁判長・裁判官から見てどちらか一方に決まっているわけではありません。
 民事裁判も同様で、原告側と被告側の位置にも決まりはありません。各裁判所の建物の構造によって、それぞれの位置は異なります。 

 日本国憲法81条では、「最高裁判所は、一切の法律、命令、規則又は処分が憲法に適合するかしないかを決定する権限を有する終審裁判所である」と定められています。このように憲法に適合するかしないかを決定する対象は法律に限らないことから、「違憲審査」という表記を用いております。 

 かつては、世間一般の感情である「世論(せろん・せいろん)」と、人々の議論に基づく意見である「輿論(よろん)」とが使い分けられていました。その後、1946年の当用漢字の制定によって「世論」の表記が一般的になったものの、「せろん」「よろん」両方の読み方が残りました。こうした経緯を踏まえ、「世論」には「せろん」「よろん」のふりがなを併記しています。 

 「オンブズマン」は、スウェーデン語で「代理人」を意味する「ombudsman」に由来します。この語はスウェーデン語において「共性名詞(両性名詞)」と位置づけられており、男性・女性の双方を含みます。しかし近年、英語において「man」という語を両性を含む「person」と言い換える流れを受けて、「オンブズパーソン」という表記も用いられるようになってきています。弊社におきましては、スウェーデン語の「オンブズマン」が男性と女性双方を表す語であることから、こちらの表記を優先して用いています。 

 「依存」には、一般的に「いそん」「いぞん」という二つの読み方が使われます。表記の参考となるNHKでは、2014年以降、「いそん」よりも「いぞん」の表記を優先するよう変更しています。しかし、現在も多くの国語辞典が漢語の読み方である「いそん」を優先していることから、弊社におきましては引き続き「いそん」の表記を用いています。 

 1968年に制定された消費者保護基本法において、政府の消費者行政の中心は、消費者に比べ強い立場にある企業の活動を規制し、消費者への情報提供や苦情処理などを行うことでした。
 しかし1990年代に入り、政府の規制緩和や自由化の流れのなかで、規制によって問題の発生を未然に防ぐ「事前規制型社会」から、ルールに違反した対象を事後的に処罰する「事後規制型社会」への転換が図られました。また情報化の進展などによって次々と新たな消費者被害が発生するようになり、あらかじめ法的規制を設けることが難しくもなってきました。
 そこで、2004年、消費者保護基本法は制定以降初めて改正されました。従来規定のなかった「消費者の権利」を明確に打ち出すとともに、消費者自身にも積極的に知識や情報を得ることが求められるようになりました。法律名の「保護」の文字がなくなったことからも、同法が自立した消費者の育成を目指していることが分かります。このため、近年では、消費者行政について、消費者の自立支援という側面から記述することが増えています。 

 2006年の商法改正以前の会社組織は、商法が規定する「株式会社」「合名会社」「合資会社」と、有限会社法が規定する「有限会社」の4種類でした。このうち有限会社は、設立時の最低資本金が株式会社よりも低額であり(株式会社は1000万円、有限会社は300万円)、比較的小規模な経営に適した企業形態でした。
 しかし03年以降、この「最低資本金」を引き下げる特例制度が実施され、株式会社・有限会社とも「1円」となり、あえて有限会社を設立するメリットは少なくなりました。そして06年には、グローバル化など近年の経済情勢に対応するために商法が大幅改正されました。これにより有限会社は、商号に「有限会社」の文字を残す特例有限会社として存続することは可能ですが、新設することはできなくなりました。
 この改正に伴い、新たに「合同会社」という企業形態が新設されました。これは株式会社や有限会社と同じく有限責任の社員から成るものの、取締役や株主総会(社員総会)の設置義務がなく、利益配分の方法も社員の総意で自由に決められるなど、経営の自由度が大きいのが特色です。起業にあたり合同会社の形態を選ぶ会社も増えています。 

 国の歳入について示す資料において、国債発行に基づく歳入は「公債金」と表記されるのが一般的です。この場合の「公債金」は国債に該当するため、「国債金」と表記しても実質的には誤りではありません。しかし、財政法4条1項において、公共事業などの財源のために「公債を発行しまたは借入金をなすことができる」と定められていることから、歳入に関する統計上は「公債金」と表記されています。歳入に関する図で「公債金」と表記しているのはこのためです。
 その一方で、「歳出」に関しては、財政法上特に規定がないため、国債を償還するための費用という意味で、「国債(国債費)」という表記が慣例的に用いられています。 

 地方公共団体の課税のあり方を定める地方税法では、1条1項4号において、地方税を「道府県税又は市町村税をいう」と定義しています。そのうえで、都や区につきましては、1条2項において、「道府県に関する規定は都に、市町村に関する規定は特別区に準用する」とし、他の道府県と扱いを分けています。実際の運用面では、一部の例外はあるものの、多くの場合「道府県」や「市町村」をそのまま「都」や「区」に読み替えることができます。そのため、地方税法の用語を踏まえつつ、実態としてほぼ同様の課税を行っていることから、「都」や「区」を併記しています。 

 「公定歩合」とは中央銀行から市中銀行への貸出金利のことを指し、かつて日本銀行(日銀)は、公定歩合の上げ下げによる金融政策である「公定歩合操作」によって景気調整を行っていました。しかし近年、日銀の金融政策においては公開市場操作が主な手段となっており、この際の誘導目標である短期金融市場の「無担保コール翌日物金利(オーバーナイト物)」が、金融政策の目標である「政策金利」と見なされています。
 日銀が市中銀行に貸し出しをする際の金利である「公定歩合」は、あくまでも短期金融市場の上限目安にすぎないため、「政策金利」と呼ぶことは適切とはいえません。こういった実情に合わせて、「公定歩合」の名称も2006年8月に「基準割引率および基準貸付利率」へと変更されました。
 なお、日本以外の中央銀行では、現在でも公定歩合操作を金融政策の主な手段としているところも多くあります。 

 預金保険制度(ペイオフ)は、金融機関が預金保険料を預金保険機構に支払い、金融機関が破綻した場合には、預金保険機構が一定額の保険金を支払うことにより預金者を保護する制度です。保護の対象は、預金者1人につき、1銀行あたり一般預金1000万円までと、その利子です。
 例えば、A行に900万円、B行に900万円を預けている場合、「1銀行で一般預金1000万円までとその利子」なので、保護の対象は、両行に預けたそれぞれ900万円とその利子です(1800万円とそれぞれの利息)。 

 一国の経済活動の規模を示す指標としては、長年「国民総生産(GNP)」が用いられてきました。特に高度経済成長期においては、日本のGNPの世界での位置づけが大きなニュースになるなど、高度経済成長のシンボルともいえる存在でした。
 しかしグローバル化が進むなか、日本人や日本企業が海外に進出し、外国人や外国企業が日本で経済活動を行うようになったため、ある「国民」の生産活動を基準としたGNPでは、一国の経済活動を正確にはとらえにくくなってきました。そのため2001年以降、内閣府の主要統計の一つである国民経済計算においても、日本の「国内」での生産活動を基準とした「国内総生産(GDP)」が用いられるようになっています。
 また一方で、「国民総所得(GNI)」も新たに統計として用いられるようになっています。これは1993年に国連が「国民経済の体系(93SNA)」を定め、GNPからGNIへと統計の基準を変更したことによります。GNPとGNIは経済活動を生産面、所得面からとらえたもので、数値は原則一致します。この変更は、「どれだけ生産したか」という観点よりも、「どれだけ所得を得たか」という観点のほうが個人の経済的な豊かさをとらえやすい、とされたことが一因です。GNIは世界銀行など国際機関の統計で多く用いられています。なお、GDPとGNIの差となる「海外からの純所得」のほとんどは、国際収支の「第一次所得収支」(従来の「所得収支」)に該当します。 

 IMF国際収支マニュアルが第5版から第6版に変更されたことに伴い、2014年1月に国際収支統計の公表形式が新しくなりました。
 変更の主な背景としては、1990年代の通貨危機の経験から、対外資産・負債の残高の重要性が高まったことが挙げられます。また、経済のグローバル化や金融取引の高度化などを受け、GDP統計などのほかの経済統計との連動性が一層求められるようになったことも大きな要因です。
 国際収支統計の主な変更の一つに、項目名の変更があります。これまでの「所得収支」、「経常移転収支」が、「第一次所得収支」、「第二次所得収支」に名称変更されました。また、「資本収支」は、「その他資本収支」を除外する一方で「外貨準備増減」を統合して、「金融収支」となりました。
 また、これまでの「資本収支」の求め方にも大きな変更がありました。これまでの「資本収支」は、資金の「出入り」に着目し、資金が入ってくる資産取引から出ていく資産取引を差し引いた資金の「流入超」を「資本収支」の定義としていました。そのため、対外純資産の減少を「プラス」、対外純資産の増加を「マイナス」と表記していましたが、対外純資産残高のストックの増減から見ると、直感に反した符号(「プラス」と「マイナス」)になっていました。
 新しい「金融収支」は、前述の対外資産・負債の残高を重視する考えを踏まえて、符号の付け方の違和感を解消することになります。対外純資産の増減と整合するために、これまでとは反対に、資産の増加・負債の減少から資産の減少・負債の増加を差し引くことで、資産取引の収支を定義するようになりました。これまでの「資金の流出入」ではなく、「対外純資産の増減」という観点から、プラス・マイナスの符号が決まるようになりました。