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日本の「工業地帯」と「工業地域」は、どのように使い分けていますか。

 「工業地帯」「工業地域」とは、いずれの名称についても工業の集積が著しいところのことを指します。しかし、その名称について公式に定められたものはなく、両者の使い分けに厳密な基準もありません。工業地域とは工場の分布の多いところ、工業地帯とは工業地域の中でも広範囲にわたって多くの工場が分布し、かつ各種の業種が総合的に発達して相互に関連性がある地域ととらえられます。

 一般的に「工業地帯」は、戦前から昭和30年代の高度経済成長期までに形成された、京浜・阪神・中京・北九州についてのみ用いることが慣例となっており、かつてはこれらを「四大工業地帯」と称してきました。高度経済成長期以降に形成された工業地については「工業地域」の呼称が付けられ、“瀬戸内工業地域”のようによびならわされています。

 近年、一般の書籍や統計書においては、工業出荷額が低下してきた北九州を除く三つを「三大工業地帯」とするとらえ方も広まりつつあります。しかしながら、教科書では現時点において、歴史的な経緯も学習に含めたときに北九州工業地帯は今もなお重要である点、近年の自動車工業や電子機械工業の急速な集積から注目を集めている点等を重視し、北九州も含めて四つの工業地帯というとらえ方をしております(ただし、「四大工業地帯」という用語は誤解を招きやすいため、掲載していません)。