• 用語

中緯度高圧帯よりも亜熱帯高圧帯を優先しているのはなぜですか。

 緯度帯を意識した用語である「赤道低圧帯」「中緯度高圧帯」を用いて大気大循環を説明すると、低緯度から極まで南北対称に現われる低圧部および高圧部を、緯度帯と連動して学習しやすいと考えます。また、緯度帯を意識した学習内容の整理の仕方は、地球表層の環境について取り扱う『地理』の学問的傾向とも、合致しています。
 しかしながら、大気科学(気象学・気候学)における重要な概念の一つであります大気大循環は、気候について重点的に扱う『地理』と、気象について重点的に扱う『地学』とで共通する内容であり、現在では『地学』の気象学的な捉え方を取り入れた用語の方が一般的になってきています。つまり、大気大循環は、大気の動的メカニズムを取り扱う気象学的な循環システムですので、弊社の教科書・教材でも、「熱帯収束帯」「亜熱帯高圧帯」の用語の方をメインの用語として取り扱い、気候学的なアプローチの同義用語である「赤道低圧帯」「中緯度高圧帯」の用語の方を、()内で表記しています。