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アフリカ東海岸にあるソマリアが乾燥しているのはなぜですか。

 ケッペンの気候区分では大陸の東海岸は「多雨」となっています。しかしながら、ソマリアを含む東アフリカ一帯は乾燥しています。ケッペンの気候区分では、気温と降水量に注目して区分しているため、このような説明できない地域がいくつも存在しています。これを解明しようとしたのが、アメリカ合衆国の気候学者のトレワーサ(トレワルサ)です。トレワーサは、ケッペンの気候区分で問題になる箇所をさまざまな研究者の説を借りて説明しています。端的に解説すると一般に雨が少ない原因には、
[1]大気中の水蒸気量が少ないこと
[2]下降気流が卓越すること
が考えられます。一般的に考えれば、熱帯では、北東貿易風と南東貿易風が吹いているため、ソマリアを含む東アフリカでも常に、インド洋から大陸に向かって水蒸気が運ばれるはずですが、乾燥気候となっています。その理由として、トレワーサは、以下のように説明しています。

①北半球の冬に、東アフリカで卓越するのは北東気流。この風は、インド洋上を吹いてくるというよりは、乾燥したアラビア半島上を吹いてくるもので、ソマリア、エチオピア、ケニア東部にまで入り込んでくる。その風は、水蒸気をあまり含んでいない。それ故に雨を降らせない(原因の[1]にあたる)。
②北半球の夏には、南インド洋からの南東貿易風がケニアの海岸に吹き付ける。その一部はそのまま南東気流として内陸に入って行くが、一部はアフリカ東岸で転向して南西モンスーンになってインド洋に向かう。言い換えると風下に向かって風が末広がりになり(発散し)、気流の厚さが薄くなり、下降気流となる(原因の[2]にあたる)。
③ソマリア沖の海流は、この地域の季節風と同じく、北半球の冬には北から南へ、夏には南から北へ流れる。夏には,ソマリアの海岸で湧昇流が発生し、深海から冷たい水が湧き上がってくるために海水面が低温となり、上昇気流が発達しにくい(原因の[2]にあたる)。

この説明で完全に解明されたわけではありませんが、この後の新しい研究成果は出ていません。