- 高等学校 地理
<帝国書院 取材班が行く!> インド南部
2026年度 後期号
◆帝国書院 取材班が行く!
インド南部
インド 基本情報(2023年)
首都:デリー 人口:約13億6717万(2021年) 面積:約328.7万㎢ 年平均気温:27.9℃(ムンバイ)
帝国書院取材班
2025年6月13~21日、取材班はインド南部を訪れた。世界一の人口を誇るインドは多様な文化や歴史、急速な経済発展などトピックにあふれている。実際に訪れることで見えてきた、インドの現状を紹介していく。
にぎやかなインドの街角
2023年、インドの人口は14億を超え、中国を抜いて世界一となった(地図帳の人口は出典年次の関係で世界2位)。インドはどの町を訪れても人であふれ、各都市のマーケット(市場)は特ににぎやかだ。買い物客の話し声、人々をかき分けて進む車のクラクション、露店から漂うスパイス(表紙写真)の香り……常に五感が刺激される。特に目を引いたのは露店で売られる色とりどりのフルーツだ(写真①)。取材に訪れた6月、インド半島西岸はモンスーンの影響を受けて雨季を迎え、高温多湿な環境でフルーツが成熟する時期となる。世界一の生産量を誇るマンゴーをはじめ、ぶどうやオレンジなど、旬のフルーツがうずたかく積まれ、1kgあたり100円前後で量り売りされていた。
デジタル化の進展と拡大するICT産業
インドの中でも南部の高原地帯に位置するベンガルールはICT産業が特に集積しており、国内企業だけでなく、欧米や日本など多くの外国企業も拠点を置いている。郊外の拠点にはガラス張りの現代的なビルが立ち並び、市街中心部とは対照的に、広大な土地をゆったり使っている印象だ。取材に訪れたソフトウエア開発会社も、オフィスは現代的であり、ノートPC1つで仕事をしている様子がうかがえた(写真②)。ベンガルールには国立の研究施設やICT機器の部品業者なども集まっており、取引のしやすさからここを拠点にしているとのことだ。
デジタル化の進展は、人々の生活にも変化をもたらしている。例えば、オートリキシャ(三輪タクシー)(写真③)や市場の露店に至るまでQRコード決済が普及しており、キャッシュレス化が進んでいる(写真①)。こうした変化は、アーダール(Aadhaar)と呼ばれる国民ID制度の普及によって、貧困層でも本人確認が容易になり、銀行口座などの金融サービスにアクセスできる人口が増加したことや、初期投資の少ないモバイル端末によるインターネット加入者の増加が背景にある。
インド南部のカレー
インドにはチキンやマトン(インドではヤギ肉が一般的)、魚のほか、野菜を使ったベジタリアンメニューなど多くのカレーがあるが、地域ごとにその特徴は異なる。インド南部では、バナナの大きな葉を皿代わりに使い、二期作も行われるインディカ米のごはんやイドゥリ(米と豆の蒸しパン)をカレーと合わせるなど、熱帯の気候を生かした食材が使われる点が特徴的だ。カレーをごはんにかけ、右手で混ぜながら一口大につかむと、親指で口に押し込むようにして食べる(写真④)。食事が終わると、バナナの葉ごと捨てればよいのも効率的だ。ファストフードとしてのカレースタンドも多くあり、立ち食いスタイルで朝からカレーを食べる人々でにぎわっていた(写真⑤)。
インドの娯楽-映画産業-
インド発の文化として、インド映画は今や世界中で上映される人気コンテンツとなっている。分かりやすいストーリーとダンスを交えたミュージカル調の展開が特徴的なインド映画は、ムンバイが産業の中心として有名であり、ハリウッドにちなみムンバイの旧名ボンベイからボリウッドと呼ばれている。しかしながら、ムンバイにある昔ながらの映画館は思いのほか閑散としており、上映数は2本だけであった。インターネットでの配信などの普及により、映画館で映画を見る人が減っているほか、娯楽の多様化で映画が必ずしも人気の中心ではないとのこと。それでも、ハイデラバード郊外にある、広大な映画セットとテーマパークが融合した施設「ラモジ・フィルムシティ」は多くの人でにぎわい、実際に使われた映画セットを前に写真を撮るインド人は皆満足そうであった(写真⑥)。
取材後記
インドはどの町も人々の熱気にあふれていた。ICT産業を中心とした発展の一方、スラムやストリートチルドレンなどインド国内での貧富の格差も体感した。
ポスターにまとめた記事もあります。
写真:2025年6月撮影/帝国書院







