• 中学校 地理

<世界地図歩き> オーストラリアを訪ねて

2025年度 後期号

◆世界地図歩き

オーストラリアを訪ねて

—地図帳とともに世界を歩こう—

2024年8月22日〜30日、取材班はオーストラリアを訪れた。オーストラリアは日本人の留学先として人気が高く、また移民も多い国である。実際に訪れることで見えてきた、オーストラリアの現状を紹介していく。

地図帳参照ページ→p.77〜80、180

多くの民族が集まるオーストラリア

オーストラリアはかつてイギリスの植民地であったことから、ヨーロッパ風の町並みが残る一方で、都市部には高層ビルも立ち並んでいる。メルボルンにはイギリス風のアーケード街が残り、その近くにはイギリスの紅茶や、イタリアやギリシャからのコーヒーの文化を受けたカフェが立ち並んでいた(写真②)。近年は、中国や韓国などアジアからの旅行者や移民も増えてきており、夕方~夜になるとメルボルンやシドニーの中華街には多様な人々が集まり、にぎわいを見せていた(写真③)。多くの移民を受け入れてきたこの国では、多彩な装いの人々も皆を気にすることなく、行き交っている(表紙写真)。

写真②

写真③

表紙写真

留学先として人気の高いオーストラリア

新しいことに挑戦してみようとする若者の中にはオーストラリアを留学先として考える人も多いだろう。円安の影響もあり、賃金が日本よりも高いことから、ひともうけしようと考える人もいるかもしれない。今回、取材班は、ワーキングホリデー制度を使いメルボルンのカフェで働く日本人男性に取材を行った(写真④)。トラムの駅のすぐ近くにあるこのカフェには多くの観光客も立ち寄っていた。取材した男性も20代後半になり、やり残したことがないかと考えた時、新しいことに挑戦してみようと思い、オーストラリアにやってきたとのこと。オーストラリアは多文化主義の国ということもあり、外国語ができない人々への理解があるという。うわさにたがわず賃金も日本より高いとのこと※。しかし、こちらでは当然、日本での学歴は全く考慮されない。履歴書は、民族や容姿、性別で合否が決まることはないため、写真を貼る必要はなく、むしろ1時間にどれくらいの皿を洗うことができるか、客席のオーダーをどれだけ処理できるか、などの具体的な能力を書くことが求められる。留学に来た若者の中にはうまく順応できず、外出しなくなってしまう場合もあるという。日本人移住者が交流イベントなどを開いて情報を提供してくれているので、それを利用するとよい、とのメッセージもいただいた。

※( 参考)最低賃金 オーストラリア:約2500円、東京:1163円(2025年7月現在)

写真④

オーストラリアにおける介護の動き

西海岸のパース周辺では、オーストラリアにおける介護事情を取材した。パースを含む西オーストラリア州の南西部は、地中海性気候で過ごしやすいこともあり、パースから南へ約50㎞のロッキンハムには特にイギリスからの移住者が多く、リタイアした人のための施設や高齢者が多いことを示す交通標識が見られた(写真⑤⑥)。

写真⑤

写真⑥

パースには約8400人の日本人が暮らしているが、だんだん高齢化も進んできている。日本人移住者の中で、海外でも安心して暮らし続けられるよう、サポートを求める声も高まってきたことから、近年は日本人移住者による日本らしい丁寧さを生かした介護事業が広がりを見せている。日本人に限らず、高齢になると外国語としての英語よりも母国語を好む人が多く、多くの移民に対応した介護がオーストラリア全土で課題になっているという。

広大な鉄鉱石の露天掘り鉱山

パースの町には、1000㎞以上離れたピルバラ地区の鉄鉱山に飛行機で通勤して働く人が数多く暮らしている。1週間ごとに鉄鉱山とパースの自宅を行き来するこの働き方はフライイン フライアウト(FIFO)と呼ばれている。取材班はパースから同じように飛行機に乗り、世界1位の鉄鉱石輸出国でもあるオーストラリアの中でも露天掘りで有名なマウントホエールバックでの取材に向かった。同乗した従業員たちは皆飛行機に乗る時から作業服に身を包んでおり、慣れた様子で搭乗していく。取材班は明らかに場違いな訪問者であった。到着したニューマンの町はスーパーマーケットが一つあるだけで、そこは従業員が仕事の間だけ過ごす町といった雰囲気であった。マウントホエールバックを有するBHP社の案内により、取材班は露天掘りを見下ろせる山の上に連れて行っていただいた。数階建ての大きさのトラック(写真⑦⑧)もアリのような小ささで見えるその露天掘りのスケールに、取材班は圧倒されるばかりであった(写真①)。オーストラリアの企業は先住民への敬意を大切にしており、鉄が採れなくなった鉱山は、穴を埋めて元に戻すという。

写真⑦

写真⑧

写真①

〈写真:帝国書院 2024年8月撮影〉

取材後記:インタビューや、通常では入れない場所への訪問などにより、貴重な体験をすることができた。ガイドからは子どもの留学を勧められ、本気で考えてしまった。