- 中学校 地理
<帝国書院の日本“社会科”探訪> 北陸の産業編
2026年度 前期号
◆帝国書院の日本“社会科”探訪
北陸の産業編
2025年7月、連日猛暑日が続くなか、取材班3名は福井県鯖江市を皮切りに、4日にわたって福井・石川県内の産業を中心とした取材を行った。
▲北陸取材班の訪問した場所
福井県鯖江市から福井市、石川県金沢市、そして輪島市を中心に取材した。
■技術が息づく地場産業 鯖江の眼鏡づくり
眼鏡フレーム製造で全国の約90%のシェアを持つ「めがねのまち」福井県鯖江市では、街の至るところに眼鏡をモチーフにしたベンチや柵などがあふれていた(写真②)。
写真②
今回訪問したのは「株式会社エクセル眼鏡」さん。分業が進んだ眼鏡フレーム製造だが、エクセル眼鏡ではデザイン・設計から出荷までをほぼすべて自社で一貫して行っている。工場では、まず大型の機械で金属をフレームの素材に加工(写真③)した後に、金属同士を接着する「鑞(ろう)づけ」と呼ばれる作業が行われる(写真①)。ピンセットでもつまめないほど小さな「鑞(ろう)」と呼ばれる金属に電気を通して溶かし接着する工程は、高い技術と経験によるものと感じられた。接着されたフレームは、研磨・洗浄・検品の工程を経て出荷される。工場で作られる眼鏡フレームの素材は、ほとんどチタンという軽くてアレルギーの出にくい金属である。海外向けの商品も多く、その大半がサングラスだという。日本の眼鏡フレームの技術はとても高く、海外でも評判の逸品となっている。
写真③ プレス機で金属を加工する様子
眼鏡の種類ごとに作成した金型を使って、素材となるチタンを切断したり曲げたりして、部品を作る。
写真① 眼鏡フレームの接着の工程
電気を通して小さな金属(鑞(ろう))を溶かし、眼鏡フレームの金属同士を接着する「鑞(ろう)づけ」と呼ばれる作業をしている様子。
写真④ 工場を取材する様子
取材には、工場の責任者の方に加え、福井県眼鏡協会の担当の方が同行してご説明くださった。
お話を伺った方 (株)エクセル眼鏡 代表取締役社長 佐々木さん
■“令和6年能登半島地震”と“令和6年9月能登半島豪雨”の被害と復興に向けて
輪島市に近づくにつれ、崖崩れや倒壊した建物(写真⑥)が目につきはじめた。輪島市門前町まで来ると、地震による隆起で使えなくなった漁港、驚くほど広くなった砂浜など、想像を超える風景が広がっていた(写真⑤)。輪島市の中心街へ向かうと、電柱は傾き、倒壊したままの民家など、地震から1年半、豪雨から1年近くが経つにもかかわらず、完全復興にはまだ遠いと感じる状況であった。有名な「輪島の朝市」が開かれていた街は火事で焼けてしまった(写真⑦)。現在は市内のショッピングセンターで「出張輪島朝市」を開催している(写真⑧)。復興までの問題が山積みのなか、地域全体で頑張っていく姿が感じられた。
写真⑥ 豪雨による被害
能登地方は地震だけでなく集中豪雨でも大きな被害を受けた。
写真⑤ 能登半島地震の隆起によって使えなくなった輪島市の黒島漁港(取材班によるドローン撮影)
この周辺は4m以上も隆起し、漁港としては使用できなくなった。右上の画像は地震前の様子。
写真⑦ 輪島の朝市があった場所
朝市が開かれていた「朝市通り」は、現在も地震後の火災の爪痕が残っている。
写真⑧ 出張輪島朝市の様子
市内だけでなく、県内外で出張朝市を行っている。
お話を伺った方 輪島市朝市組合 組合長 冨水さん
未来へ受け継ぐ輪島塗の技術
伝統産業の輪島塗は、細かな分業体制が特徴で、数多くの職人が自宅兼工房で作業していた。工房の多くが地震の被害に遭い、生産再開が困難な状況に陥った。このような状況で、輪島市などが中心となり、輪島塗の職人が仕事場として使う「仮設工房」を用意し、伝統産業の支援をしている(写真⑨⑩)。道具も職人同士で分け合ったり、他県の職人から支援してもらったりと、伝統の火を消さないようにしている。取材班は仮設工房と、一貫生産を行う工房(写真⑪)を訪ね、輪島塗の技法、そして伝統を守る職人の姿が取材できた。
写真⑨ 輪島塗の仮設工房/写真⑩ 仮設工房の内部の様子(⑨の仮設工房とは違う場所)
各工房の職人の名前と担当する工程が表示されている。
写真⑪ 輪島塗の「布着せ」を行う様子
軽くて丈夫な製品にするために、布を貼って強度を増すのが輪島塗の特徴の一つ。













