- 中学校 ICT活用
<ICT活用の現在を訪ねる-取材編->電子黒板の2画面切り替えで生徒への目配りを大切にする「地理」の授業
2026年度 前期号
◆ICT活用の現在を訪ねる―取材編―
電子黒板の2画面切り替えで生徒への目配りを大切にする「地理」の授業
今回は、2025年12月に、女子美術大学付属高等学校・中学校の中学1年の社会科「地理」の授業(単元:南アメリカ州)を訪問! 担当の近藤千鶴先生は、充実したICT環境を活かし、教室をまわって生徒の様子を見ながら活気あふれる授業を展開していました。

東京都 女子美術大学付属高等学校・中学校 教諭 近藤 千鶴
学校のICT環境は?
東京都杉並区にある女子美術大学付属高等学校・中学校では、教育プラットフォーム「Classi」、2画面表示機能のある電子黒板「ワイード」(以下、電子黒板)が完備され、近藤先生はiPad2台とApple TV2台、生徒はiPadを1人1台持っています。先生は指導者用デジタル教科書「社会科 中学生の地理」(以下、デジタル教科書)を、生徒は授業中や課外でオンライン学習プラットフォームに配信される「デジタル問題集※」を活用し、社会科の学習を進めています。
※mana.think@ デジタル問題集 社会科 中学生の地理 定価(税込価格):880円(1ライセンス)クラウド配信
授業はどんな様子だろう?
(1)ICT機器の活用で先生と生徒のやりとりが活発に
近藤先生は、基本的に板書はせずに、2台のiPadと電子黒板とをリンクさせ、2画面のうち左はデジタル教科書や動画、右はオリジナルのスライドを表示し、テンポよく切り替えながら授業を進めています。電子黒板の左では、デジタル教科書の文章や図などを大きく表示し、その場で丸く囲んだりマーカーを引いたりして、生徒に着目させたいところを強調していました。また、既習の内容が出てくると、デジタル教科書の機能を使って、すぐにデジタル教科書の該当ページに飛んで振り返ることができるようにしていました。
ICT機器を活用することで、先生は常に教室をまわって生徒の様子に目を配り、生徒と活発にやりとりしていきいきと授業をしていました。
▲デジタル教科書に収録されている動画を見せ、高地の暮らしをイメージできるようにしている。
▲焼畑農業のサイクルをアニメーションで見せ、流れを順に説明している。
▲すでに学習したページを参照。学習時の強調表示も履歴として残っている。
(2)生徒は紙とデジタル両方のツールで
生徒が授業で使用するのは、主に紙の教科書とワークシートを貼ったノート、iPadの3つです。iPadは、統計データなどを調べる時やデジタル問題集に取り組む時に使用されています。
近藤先生は、生徒の理解をより深めるために、予習、単元の終わりの時間の授業中、テスト前の合計3回デジタル問題集に取り組ませることを目標にしています。教師用管理画面で、生徒の取り組んだ回数や知識の定着度が見えるので、点数だけではなく、「あんなにやっていたんだね」「すごいね」など頑張った態度を褒めて、生徒の意欲を引き出すようにしているそうです。
公平で正確な統計データ
中学生という発達段階を踏まえ、不正確なデータや膨大な情報量に惑わされないよう、出典が明確な帝国書院Webサイト「社会科調べ学習用 統計データ」などのデータを提示するようにしています。
インタビュー「近藤先生が地理の授業で大切にしていること」
デジタルか紙か、という議論がありますが、地理教育の本質は変わりません。地図帳を広げ、統計データを読み解く地道な作業は、これまでも私たちが大切にしてきたものです。今、その手段としてデジタルとアナログの両方を手にできるようになったことに、大きな意味があります。
大切なのはツールの導入そのものではなく、それによって生徒の学びがどう深まるかです。目的や課題に合わせて、自ら道具を選び使いこなしていく。この「選択肢の広がり」こそが、主体的な学びを支える鍵となります。
中学生という多感な時期、子どもたちは周囲と同じであることに安心感を抱きがちです。しかし地理という学問は、「地域が違えば文化が違うのは当たり前」だと教えてくれます。それは「人間も一人一人違って当たり前」という個の尊重につながります。自分の考えを大切にしながら、他者の意見とも丁寧に向き合い、すり合わせていく。そんな「違い」を認め合える感性を、教室で育んでいきたいと考えています。
近藤 千鶴 先生
教員歴:19年
中学校、高校の地理を担当
専門:地理教育/開発教育実践
生徒へのアンケート
デジタル教材の活用について、生徒にうかがってみました。(回答者数:97人)
・App TV、iPadは米国および他の国で登録されたApple Inc.の商標です。 ・ClassiはClassi株式会社の登録商標です。 ・ワイードは、株式会社サカワの登録商標です。













