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イギリスとアメリカでは、どちらが日本の政治体制に近いですか。

 日本の政治制度がイギリスとアメリカのどちらに近いかついては、議院内閣制の面と、権力分立の面のどちらから考えるかによって、見方が変わります。

 まず、議院内閣制という制度の面では、イギリスに近いと考えることができます。こちらの考え方を記述している教科書も多くあります。

 他方で、三権(立法権・行政権・司法権)の権力の対等さと、厳格な分立体制の面からは、アメリカに近いと考えられます。弊社の公共・現代社会の教科書では、後者の考えに基づいて構成しています。特に、イギリスの司法権については、以下のような特徴があります。

① 2009年にイギリスに最高裁判所ができるまでは、イギリスの司法権は貴族院(上院)に付属するもので、伝統的に権力分立(特に司法権)については軽視される傾向があった。

② ①で示したように2009年に最高裁判所はできたが、イギリスには明文化された憲法典が存在しないため、違憲審査権を持たず、また立法権、行政権に対して抑制効果を持っていない。そのため、チェック&バランスの機能が取りにくい。

 このように、イギリスでは権力分立のチェック&バランスが十分でないため、三権分立の観点から、日本の政治体制はアメリカに近いといえます。

 ただし、①で示した最高裁判所の設置は、イギリスの国民が伝統よりも権力分立の厳格化を求めた結果であるといわれています。また、2011年に制定された議員任期固定法が22年に廃止され、首相の判断で下院(庶民院)を解散できるようになりました。このように、イギリスの政治制度や取り巻く環境も、近年変化しつつあります。