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「電気機械工業」「精密機械工業」「先端技術産業」の違いは何ですか。

 機械工業にはいくつかの種類がありますが、教科書では次のように分類しています。 まず「電気機械工業」とは、冷蔵庫や洗濯機などの家電製品(電気機械器具)、コンピュータや携帯電話(情報通信機械器具)、集積回路(IC)や半導体素子(電子部品・デバイス)などを製造する工業のことを指しています。一方、「精密機械工業」とは、時計やカメラなど微細な部品で構成された精巧な機械を製造する工業のことを指しています。このほかにも、事務機器などを製造する「一般機械工業」、自動車・鉄道車両などを製造する「輸送機械工業」もあります。
 この分類は、経済産業省『工業統計表』の「工業統計調査用産業・品目分類」に基づいていますが、2008年にこの品目分類の改訂が行われました。改訂後には「精密機械」に属していた品目が、ほかの機械品目の中に分割移動することになりました。例えば、同じカメラでも、フィルムカメラは「業務用機械器具」に、デジタルカメラは「情報通信機械器具」となりました。このように精密機械工業という分類は、『工業統計表』上からは消滅してしまいましたが、教科書では諏訪盆地の工業を事例に「精密機械工業」について述べています。この地域の学習をする際には、歴史的な経緯もふまえてこの語にふれることが適切であると考えています。
 一方、教科書には「先端技術産業」という語も登場し、「ハイテク産業」ともいうこともあります。これに明確な定義はありませんが、高度な知識と先端的な技術により、新しい産業界の担い手となるべく期待されている産業の総称です。教科書では、コンピュータ関連産業、航空宇宙産業、バイオテクノロジーを事例として本文で取り上げていますが、このほかにも、ファインセラミックスなどの新素材開発なども、先端技術産業に含まれることが多いようです。