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ヒンドゥー教徒の多いインドの牛肉輸出量が多いのはなぜですか。

 インドの人口のおよそ80%はヒンドゥー教を、残りの20%はキリスト教や仏教、イスラームなどを信仰しています。
 ヒンドゥー教では、牛は破壊神シヴァの乗り物であるとされており、神聖な動物として崇拝されています。そのため、牛を殺すことも食べることも禁忌となっています。しかし、ヒンドゥー教で神聖視されているのは、南アジアを中心に分布する乳白色の瘤牛のみであり、真っ黒な水牛はその限りではありません。インドでは、多くの水牛が飼育されており、そのミルクは飲用にされるほか、乳製品に加工されるなどして利用されます。乳牛としての役目を終えた後は食肉とされることが多く、輸出されることも多いようです。近年の統計では、インドから輸出される牛肉の7割以上が水牛の肉です。インドの牛肉輸出量が多い背景にはこのような事情があります。
 また、インドではヒンドゥー教徒以外の人口も2億以上にのぼります。ムスリムやキリスト教徒、シーク教徒は牛肉を食べますので、水牛以外の牛肉の生産も少なくはありません。