• 地名

中国の地名をカタカナ表記にしているのはなぜですか。

 文部科学省「義務教育諸学校教科用図書検定基準 別表」では、外国地名について「地名・人物(3)外国の地名及び人名の表記については、慣用を尊重すること。」とだけ記されており、具体的な表記の基準については記されていません。とはいえ、国語審議会『中国地名・人名の書き方の表』(1949年)、文部省『地名の呼び方と書き方<社会科手びき書>』(1959年)では、「中国・朝鮮の地名は、現代の中国標準音でかな書きにする」と記されています。また、教科書研究センター『新 地名表記の手引き』(1994年)では、「外国の地名は、なるべくその国・地域なりの呼び方によって書く。」「中国・朝鮮の地名は片仮名で書く。ただし、慣用として広く使用されているもの、その他必要のあるものについては、漢字を付記する。」となっています。特に、『新 地名表記の手引き』は地図帳・教科書における地名表記のよりどころとなっており、弊社も本書を参考にしたうえで、現地語に近い読みを研究し、表記を決定しています。ただし、中国における漢字表記は日本人にとってなじみのあるものですので、主要な地名についてはカタカナの後に( )書きで漢字を併記しています。
 ちなみに、中国の首都の「北京」は、現在の中国語(普通話)では「ベイジン」が近い読みとなりますが、中国南方の発音で江戸時代から用いられている「ペキン」という読みが日本では定着しています。外務省でも「ペキン」を用いていますので、地図帳・教科書では「ペキン(北京)」と表記しています。