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「諸島」「列島」「群島」の違いは何ですか。

 これらの区別には明確な基準はありませんが、「諸島」は2つ以上の島の集団、「列島」は多くの島が列をなして連なっているもの、「群島」はまとまりをもって群がっている島々、とそれぞれの言葉の意味に即して名前が付けられているようです。日本の島名は国土地理院と海上保安庁の海洋情報部(2002年までは水路部)が協議して決定していますが、長年使われてきた慣用によるものが多いようです。ただし、このように明確な基準がないため、名称の変更も起こります。例えば、平成20年の国土地理院の発表で、北方領土の「歯舞諸島」は「歯舞群島」に変更になり、地図帳・教科書でもこれに合わせ表記を変更しています。
 外国の島名については、かつて文部省が作成した『学術用語集 地理学編』では、英語で諸島は「Islands」、群島は「Archipelago」と定義づけされています。しかしながら、日本語での呼び名はこの欧文表記に合致しないこともあり、弊社の場合、内外のさまざまな地図や資料、文献などの調査に加え、地域の専門家のご意見もふまえ、呼び方を定めています。例えば、インドネシアのスマトラ島からスラウェシ島に至る島々は、イギリスの地図帳『TIMES ATLAS』で「Greater Sunda Islands」と表記されています。しかし、列状に連なる島々ですので、地図帳では「大スンダ諸島」ではなく「大スンダ列島」と表記しています。このように、英語表記のみにとらわれず、これまでの慣用と地形的特色から諸資料をもとに日本語表記を決めています。
 『TIMES ATLAS』の島の表現には、「Islands」「Archipelago」双方を使用していて、固有名詞のみで表記している場合もあります。最近は現地の呼び名をアルファベットで表すようになり、例えば、日本の南西諸島は「Nansei Shoto(Ryukyu Islands)」と表記されています。