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イコールアース図法について教えてください。

本日は、昨今話題となっているイコールアース図法について、話題の背景と地図帳・教科書での対応をご報告します。

2026年9月4日、国連総会において、トーゴがアフリカ諸国グループを代表して提案した「Correct the map(地図を修正せよ)」決議が採択されました。この決議は、メルカトル図法による世界地図の使用をやめ、イコールアース図法による世界地図の使用を促すものです。

球体である地球を平面である地図に表すため、様々な図法(地図投影法)が用いられています。そのなかでもメルカトル図法は歴史が古く、角度を正確に表せることから、航海用の地図などに利用されてきました。一方で、国連決議でも指摘されたように、高緯度ほど面積が拡大して表されるという欠点があります。例えば、のように、アフリカ大陸の約14分の1の面積しかないグリーンランドが、アフリカ大陸と同じくらいの大きさに見えてしまいます。アフリカ諸国をはじめとする低緯度の地域が相対的に小さく見えるため、世界について誤った認識につながるおそれがあるとして、メルカトル図法に対する批判の声があがったのです。

では、使用が推奨されているイコールアース図法とは、どのような図法でしょうか。これは、面積を正しく表すことができる正積図法の一つです。を見ると、グリーンランドとアフリカ大陸の面積比を正しく把握できることが分かります。これがこの図法の大きな特徴です。一方で、イコールアース図法にも欠点があります。図の端に向かうほど形がゆがむことです。アフリカを中心に描いたを確認いただくと、日本は大きく傾いた形で表されていることが分かります。平面の地図上で、球体である地球の全ての要素を正確に表すことはできません。そのため、目的に応じて使う図法を選ぶことが大切です。

続きまして、地図帳・教科書での対応をお話いたします。メルカトル図法には、世界地図として使うには課題があることが、以前から知られていました。そのため、帝国書院の地図帳・教科書をはじめ、多くの出版物には、メルカトル図法で描かれた世界地図は使われていません(メルカトル図法の解説の付図を除く)。

例えば、地図帳の巻頭や巻末に掲載されている世界全図は、緯線と経線が直線で表された長方形の地図であるため、メルカトル図法と誤解されやすいのですが、高緯度での面積の拡大を抑えたミラー図法を採用しています()。


▲ ミラー図法の世界地図(「楽しく学ぶ小学生の地図帳」(令和5年検定済み)p.130-132 より)

小学校や中学校の地図帳で、アフリカとヨーロッパを一続きに見られるページで採用しているのは、イコールアース図法と同様に面積を正しく表すことができる、ランベルト正積方位図法です()。そのため、イコールアース図法を使わなくても、ヨーロッパ諸国と比べてアフリカ大陸がいかに広大であるかを正しく認識できる地図になっています。


▲ ランベルト正積方位図法の地図(『中学校社会科地図』(令和6年検定済み)p.45-46 より)

以上を踏まえ、今後の対応をまとめます。現在ご使用いただいている地図帳や教科書には、メルカトル図法で描かれた世界地図を掲載しておりません。そのため、今回の国連決議によって、ただちに地図を変更することはありません。引き続き安心してご利用いただければ幸いです。

また、今回の国連決議によって、イコールアース図法に大きな注目が集まりました。その趣旨を鑑み、弊社としましても、次期改訂時の地図帳・教科書において、イコールアース図法を図法の1つとして紹介することやイコールアース図法を用いた地図を一部に採用することを検討しております。

この議論を契機として、地図には様々な図法があること、それぞれに利点と欠点があること、そのため目的に応じた図法を選択して利用することが大切であることの認知が広まることは、大変良い機会ととらえております。今後も社会情勢の変化に応じた教材の開発に努めてまいりますので、引き続き帝国書院の地図帳・教科書をご活用くださいますよう、よろしくお願い申し上げます。