●建設ラッシュにわくドバイと外国人労働者
アブダビでも高層ビルの多さに驚いたが,ドバイはさらに高層ビルが林立し,巨大なショッピングモールや世界最大の水槽がある水族館,さらには屋内の人工スキー場までそろった観光都市であった。都市の発展に合わせ,空港と中心部を結ぶメトロ,ヤシの木の形をした巨大な人工島パーム・ジュメイラの中心部を走るモノレール,ドバイの一大ビーチスポットに2014年に開通したトラムなど交通網の整備も進んでいる。私たちはメトロとモノレールに乗車したが,どちらも無人運転であり,最前席や最後尾では近未来都市のような景観を目の前で楽しむことができた。
モノレールの走るパーム・ジュメイラは,高級ホテルと高級分譲住宅が立ち並ぶ人工島であるが,動画にあるとおり現在も建設ラッシュが続いており,途中駅も建設中であった。昼になると50
℃近くになるドバイの建設現場では,さすがに昼の作業はやっていないだろうと思っていたが,どの現場でも人々が炎天下のなか働いている。ただし,そこで働いているのは100%外国人労働者である。UAEは,人口に占める外国人の割合が9割近い国で,その大半が出稼ぎの外国人労働者である。私は,ホテルの清掃係やタクシー運転手など,出会った人々には必ず出身地を聞くようにしていたが,スーパーマーケットのレジをやっていたフィリピン人の女性以外はすべて南アジア出身者であった。出身都市はインドのムンバイやケーララ州,パキスタンのカラチなど多岐にわたっていた。統計的にもインドやパキスタン,バングラデシュなどの南アジアからの労働者が多いようである。彼らは家族を自国に残し,給料のよいUAEに出稼ぎにきている。とはいえ,1割しかいない自国民(エマラティ/エミレーツ)の給料とは はるかに開きのある安い賃金で働いており,強烈な格差社会であることを実感した。今回は子供2人を連れての旅であったが,彼ら外国人労働者の子供を見る目が温かく,さまざまな場面で助けられた。自国に残した家族を思う心がそうさせているのではないかと,想像せずにはいられなかった。